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テレビ東京で放送中のドラマ『君は夏のなか』は、第2話のサブタイトルを「聖地巡礼、夏」としている。公式の番組情報として公開されたのは話数と題名が中心で、物語の詳細までは分からない。それでも、題名に「聖地巡礼」という言葉をそのまま掲げた点は見逃せない。聖地巡礼とは、作品の舞台や撮影地を訪ねるファンの行動を指す。かつてはアニメの文化だったが、いまは実写ドラマにも広がっている。本稿では、放送内容の細部ではなく、題名が示す文化の流れと、地域や企業にとっての意味を考える。
引用元: 君は夏のなか 第2話 聖地巡礼、夏(テレビ東京)
分析・見解
題名に「聖地巡礼」を置く意味は小さくない
ドラマが「聖地巡礼」という言葉を題名に使うのは、視聴者がこの行動をすでに知っていると見ているからだろう。
数年前まで、この言葉はアニメファンの内輪の用語だった。いまは違う。SNSで撮影地の写真を並べる遊びが一般化し、実写ドラマの視聴者も同じ感覚で作品を楽しんでいる。
作り手が先回りして「巡礼」を物語に組み込むのは、視聴と旅行を一続きの体験にするねらいがあるとみられる。
アニメで育った習慣が、実写ドラマへ移った
聖地巡礼の代表例は、アニメ作品の舞台となった地方都市への来訪者増加である。埼玉県秩父市や、岐阜県飛騨市などは、作品をきっかけに若い来訪者が増えたと広く知られている。
実写ドラマでも、NHK連続テレビ小説の舞台となった町に観光客が集まる現象は昔からあった。違いは速度である。かつては放送から数カ月後に動きが出たが、いまは放送直後の週末に、もう現地へ向かう人がいる。
理由は単純で、撮影地を特定する作業がSNS上で数時間のうちに終わるからだ。
視聴者を動かすのは、景色より自分の写真だ
聖地巡礼で人が求めるのは、風景そのものよりも、作品と同じ場所に自分が立った証拠である。
同じ構図で写真を撮り、作品名を添えて投稿する。この行為が、作品への愛着と旅の満足感を同時に満たす。
ここに独自の視点がある。巡礼は観光ではなく、ファン活動の一種として設計するほうがうまくいく。観光地としての魅力を磨くより、作品の場面を再現できる撮影位置を整えるほうが、来訪者の満足は高い。
放送後の数週間で熱は冷める
課題は持続性だ。放送が終わると話題は急速にしぼむ。
長く続いた例は、地元が早い段階から受け入れの準備を整えていた。案内板、スタンプ、地図の配布、休日の臨時便など、地味な準備が効く。
逆に、放送後に慌てて看板を立てても、ピークを過ぎていれば効果は薄い。
ビジネスへの影響
ロケ地を持つ自治体と店は、放送中に動く
自治体や商店は、放送が始まってから準備に入ると間に合わない。制作側との協力窓口を平時から持ち、撮影の許可や協力の実績を積むことが先決である。
小さな店でもできることはある。作品名を出せない場合でも、「撮影に使われた席」と案内するだけで、来訪者は自分で意味を見つける。ただし、権利の扱いには注意が必要だ。作品名やロゴ、出演者の写真は無断で使えない。表現は制作会社への確認を取ってから決めたい。
企業は聖地巡礼を広告の入り口にできる
鉄道、宿泊、飲食、写真関連の企業にとって、聖地巡礼は来訪動機が明確な需要である。
具体策として、作品の舞台をめぐる日帰りコースの商品化、撮影用の小物の貸し出し、現地限定の記念品などが考えられる。重要なのは、放送期間中に第一弾を出し、放送後に第二弾で熱を維持することだ。
また、SNSでの投稿を促す仕掛けは、広告費をかけずに情報を広げる手段になる。投稿の条件を細かくしすぎず、参加しやすさを優先したい。
効果は来訪者数ではなく再訪率で測る
来訪者の数だけを追うと、一過性の流行に振り回される。見るべきは、再訪した人の割合と、周辺で使われた金額である。
数字を取る手間が大きければ、まず来訪者アンケートを一問だけ設ける方法がある。「何をきっかけに来たか」を聞くだけで、次の施策の精度が上がる。
